
當麻寺には古来より、「當麻曼荼羅」に描かれた内容を解説する「絵解き」が伝わっています。當麻曼荼羅絵解きは當麻曼荼羅の内容を説く法話であるだけでなく、極楽浄土の光景を独特の節回しで説く一節があり、さらそれを拝聴して参加者一同で拝礼をする作法であるため「絵解き拝礼式」と呼ばれます。
もとは曼荼羅堂にて行われておりましたが、現在は中之坊に伝承されています。
この中之坊に伝えられる一節「絵解き節(えときぶし)」は、五木寛之氏には「芸能の源流」と称されています。
(※ 絵画の内容を解説することを一般に「絵解き」といいますので、他の寺院や会場、あるいは當麻寺内の別の僧院などで、當麻曼荼羅を解説する「當麻曼陀羅絵解き」が行われることがあります。これらは中之坊に伝承される當麻寺伝統の「絵解き節」とは異なるものですので、お間違えのないようにご注意ください。中之坊の絵解きは實秀長老または實昭院主によって修されます。)
中之坊での「絵解き拝礼式」は、「絵天井の間」として有名な写佛道場にて、150枚の天井画の下で参加する事ができます。
絵解き拝礼式に用いられる複製の「當麻曼荼羅」は、前田青邨画伯の高弟であった日本画家・入江正巳(いりえまさみ)画伯により、丸10年を費やして描き上げられたもの。入江画伯畢生の大作です。