和漢胃腸薬陀羅尼助だらにすけ

大和國当麻寺中之坊

「陀羅尼」とはなんだ?

陀羅尼
陀羅尼を唱えての製薬風景

●ダラニって?
 「陀羅尼(ダラニ)」はインドの昔の言葉「梵語」で、仏さまにお唱えする祈りの言葉、つまり「真言(しんごん)」のことをいいます。お経とは仏さまの教えを説いたものですが、真言とは精神統一して御仏を祈る為の呪文のようなものです。「オン」や「ノウマク」で始まる梵語の陀羅尼がほとんどですが、「南無大師遍照金剛」や「南無阿弥陀仏」なども真言の一種といえます。
 當麻寺中之坊に伝わる「陀羅尼助」の製法には、薬草を釜で煮詰める際に、導師が「陀羅尼」をお唱えするのです。薬が良く効くように祈るわけです。この陀羅尼による「祈り」の力を封じ込めた薬なので「陀羅尼助」と呼ぶわけです。

●良薬は口に苦し
「陀羅尼助」の名前の由来には異説があります。僧侶が「朝のお勤め」などで仏さまに陀羅尼を唱える際、どうしても眠くなるときがあります。そんな時、陀羅尼助の一片を口に含むのです。陀羅尼助は非常に苦く、たちまち目が覚めるというわけです。
 この話は俗説に過ぎませんが、確かに効果がありそうです。ちなみに木魚を叩くのも、もとは眠気を紛らす為だといわれていますが、これとくらべると、陀羅尼助の方が遙かに効きそうですね。

●ダラニスケとダラスケ
 ところで、陀羅尼助は一般に「ダラスケさん」の略称で親しまれていますが、これに関しても面白い記録があります。
 江戸時代、吉野大峯と当麻中之坊が双方陀羅尼助の本家を主張して譲らず、やむなく裁判沙汰にまでなったといいます。両者とも役行者直伝の二大本家であるのだから、決着のつくはずもありませんでした。その時、名判官の大岡越前守は孔雀明王陀羅尼経の功徳による信仰と済世利人の本旨をとって、中之坊のを「陀羅尼助」、大峯のを「陀羅助」とするという裁きをつけたというお話です。


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